介護施設では毎月イベントが開催されることが多いです。
誕生日会・クリスマス会・ハロウィン・三が日等沢山のイベントが催されます。その為、そこで暮らす方々は、「もう〇月なんだ。早いねぇ」とか「また歳とっちゃったよ」などの会話が生まれます。
在宅で一人やご夫婦で過ごしていると、イベントには疎くなってしまいます。「もうそういうので、はしゃぐ歳でもないしな」と思ってしまっている方が多いようです。
それでもご家族がいらっしゃる方は、誕生日会を行ってくれたり、馴染みのあるイベント事には遊びに来てくれたりする方もいるんではないでしょうか。
こういったイベントがあることで、ご家族とのコミュニケーションを図るきっかけとなります。
在宅介護でのイベントはそもそも行えるのか。
在宅介護しながら季節のイベントなんて出来ないよ…。
忙しすぎる。でも少しくらいはやってあげたほうがいいのもわかってるけど…。
では在宅介護をしている方々はどうでしょうか。イベントなんてやっている余裕はないというのが、正直な意見だと思います。離れて暮らすご家族はデイの準備をしないといけない為に、毎日仕事行く前や帰ってきてから両親の家に行き準備をします。終わったらすぐ帰って自分の家の夕食などの準備に取り掛かるでしょう。
かなり忙しい中で自分の時間を割いて介護に使いつつ、理不尽な事を言われてイライラが溜まり、強く当たってしまうなんて方もいらっしゃるかもしれません。
ここに関しては、病気の進行度や身体の状態によって大きく変わります。軽い介護ですんでいる方は多少の余裕があるでしょうし、認知症が強い方の介護であれば余裕はなくなっていくことかと思います。
しかし、在宅介護を行っている場合、外に出れても外部との交流がない方やそもそも自宅内に引きこもってしまっている方はこのイベントの事を分かっていません。ただの普通の1日ととらえています。
なので、変化を持たせるためでもあり日付間隔を感じてもらう為にも、このイベントというものは少しでも行った方が良いと思います。
例えば2月ですと「バレンタイン」と「節分」がメジャーなイベントですよね。他にも建国記念日とかさっぽろ雪まつりなど、地域によってのイベントや全国規模のものがありますが、今回は節分に焦点を当てていきます。
イベント「節分」
悩むお姉さん
節分は楽しいイベントの一つだけど、介護やりながらできるのかな。
何かやり方があるのなら教えてほしいな。
節分は豆まきを行う・恵方巻を食べるですかね。この2つを全部やらないといけないというわけではなく、一つどんな形でもいいからやれることを考えてみましょう。
身体がある程度健康な方は豆まきをやろうと思えばできます。ただ鬼を誰がやるのかという問題が出てきますね。そこはできるならもちろん人間が良いです。リアクションが楽しめますからね。楽しみながらやれるイベントは最高です!
ですが、在宅介護を行っている方々にそんな余裕はないと思います。なので私が前に働いていたところで「イベントに参加してほしいんだけど、こっちが忙しくてできない。どうすればいいかな?」という質問を受けたとき、ちょうど豆まきシーズンでしたので、豆まきでお話をさせて頂きました。
私の答えは「○○さん(Aさん)はある程度体も動かせますし、タブレットも使えるのでビデオ通話にして投げてもらうのはいかがでしょうか。」というものでした。具体的には、「Aさんにテーブルにタブレットを設置してもらって豆(紙を丸めたものでもよいです)を用意してもらいます。そして時間になったらビデオ通話してご家族のどなたかに鬼を演じていただきます。豆を画面に投げてもらい鬼がリアクションをすれば、楽しく参加できるんではないでしょうか。」
というものを提案しました。実際には紙をくしゃくしゃに丸めたものを数個用意して、それを画面めがけて投げてくれて、楽しんでくれたと後にご報告いただけました。
この豆まきの良いところはわざわざ自宅に行かなくてよいという所です。行く時間や用意する時間など多くの時間がかかるのがイベントです。そこの時間の節約になるので時間を決めておけばそれで終わりにできます。はしゃぎすぎてしまうと、転倒などの危険もあり得るので、お身体の状態に合わせて提案してみてください。
認知症の方の場合ですと、できないことはないとは思いますが、無理に行わないくても良いと思います。認知症の軽度くらいであれば上記でお話ししたやり方も可能かとは思いますが、やはり心配ではあります。重度の方の場合はそもそもタブレットが使えないと思うので、難しいです。
イベント「恵方巻」
お兄ちゃん
恵方巻って中身が様々で楽しいよね。でも高齢者は食べきれるのかな。
途中で喉に詰まらせたりしないかな?
次は恵方巻を食べるについてです。
恵方巻はその時の決まった方角を向いて一本無言で食べるというものですが、高齢の方からするとこれをちゃんと行うのは、のどに詰まりやすい・量が多い等の理由から難しいです。(もちろん食べられる方がいるのもわかっております)
なので食べるのであれば一本ではなく輪切りにする・輪切りにしたものを4等分にするなどして食べやすくしましょう。そうすることで普通のご飯を食べている状態に近い形になりますし、食べきれなかったら次の食事のときに回すこともできます。
食事の形態が常食ではなかった場合、丼などにして提供するのも一つです。その場合、一から作るという工程が生まれてしまいますが、そこは一緒に作ることで楽しい思い出になると思います。
しかし食事を提供するという事は、どうしてもそこで買い物に行く時間・移動する時間などがかかってきてしまいます。その日だけは一緒に食事をする時間を確保できるのなら行ってみても良いかもしれませんね。
イベントを少しでも行う意味
難しいイベントもあるしやり方を考えればできる物もあるね。
イベントをやることでどんな良いことがあるのかな。
それがあるなら次もまたちょっとでもやってみようか。
他にも寝たきりに近い方であれば、枕元や壁紙などに豆まきの絵を描いて張ったり、折り紙で鬼を作ってみたりするだけでもいいです。
移動時間などはどうしてもかかってきてしまいますが、介護を行いに行くついでに物を置いてくるくらいはできると思います。一言でもメッセージを書いてあげられたら書いてあげましょう。
何もやらないただの1日より、イベントに参加した1日の方が変化を持つことができます。いつもと違うことを行ったという変化です。介護を受ける側にも介護を行う側にもイベントというのは必要なものです。
特にお孫さんからのプレゼントは、やはりうれしい物ですのでぜひ協力をお願いしてみてください。