介護の状態になる前や介護状態にならなくても、歳を重ねることで自然と使われる福祉用具の一つが「杖」です。これは、福祉用具というよりも、総合スーパーや専門店などで買うことのできる身近な物という印象が強いかもしれません。
杖も立派な福祉用具の一つです。
そして杖は一本買ったらずっとそれを使い続けるというわけでもありません。身体の状態に合わせて変えなければならない事も出てきます。変えないでそのまま使い続けていると杖の役割が果たせなくなり、転倒する危険も出てきてしまいます。体が弱ってきたときに使うものですから、正しい方法で安全に使用していただきたいと思います。
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今回は、皆さんの弱ってきた足の代わりになる杖についてお話をしていきます!
杖の種類は一本杖のみではない
杖ってよく見る一本杖のみなのかな。身体の状態に合うものとかあるのかわからないな。種類はたくさんあるの?
杖にも色々な種類があります。皆さんが馴染みのあるものと言えば、一本杖でしょうか。初めて杖を使う方にプレゼントをする方もいらっしゃるほどです。福祉用具でもレンタルできますし、大きなスーパーや専門店でも販売されています。もちろんそれ以外にもロフストランドクラッチ・他脚杖(3点杖・4点杖)・折りたたみ杖などがあります。
使う方によって怪我や体の状態・症状も違うので、同じ病気だからという理由で同じものを利用するのはお勧めしません。ご自身でいろいろ試してみて、合うものを利用されるようにしてください。
下記に皆さんが聞いたことがあるだろう杖を表にしました。見たことはあっても名称を知らなかったなど発見もあるかもしれません。この機会にぜひ知識として取り入れていただければと思います。
1本杖 | メジャーで皆さんもご存じですよね。種類も豊富にあって最近ではかなりおしゃれなものも増えてきています。デザイン性がよく、使っていてもおしゃれの一部としてみることもできます。 |
折りたたみ杖 | 普段は使わなくても歩ける方が使います。カバンなどにしまっておき、必要となったら取り出して使うことができる物です。そこまで重さもなくリュックなどに入れておくと、良いかもしれません。 |
伸縮杖 | ボタンで長さを変えることができる杖です。ご自身に合う長さを選ぶことができます。例えば、使い始めた当初は一番上でちょうどよかったけど、どんどん腰が曲がってきて長さが合わなくなってきたというときは一つ下げることで解消されます。 |
他脚杖 | 多点杖ともよばれます。一本杖とは違い、足元の支える部分が3つに分かれていたり、4つにに分かれている杖を指します。この杖は一本杖に比べて安定性があるので、多少体重を乗せても大丈夫です。一本杖だと滑る危険もありますが、こちらはほとんどありません。室内などの利用に向いています。 |
ロフストランド杖 | こちらは腕の部分に支えがあり、握力が弱くなった方にお勧めです。一本杖よりも安定して歩くことができます。 |
※実際に使っている方に杖について聞いたところ、一本杖で木の場合、年数がたつにつれて徐々に曲がってきてしまうと教えてもらいました。実際に見せてもらいましたが、真っすぐではなくほんとにわずかではありますが、曲がっていました。その場合、体重のかけ方次第では危険なので、杖を修理したり買い替える必要がでてきますので、注意事項の一つとして覚えていただけると幸いです。
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杖を使うときの高さ・位置
杖の種類はたくさんあるんだね!
じゃあ実際に使う際、気を付けることは何だろう。教えておくれ。
杖の高さがあっていないと、とても歩きづらくなり肩こりなどになる危険もあります。なので、高さ調整はしっかりと出来るようにしておきましょう。
ちょうどよい杖の長さ=身長÷2+2~3cm(普段は履く靴を着用して)
と言われています。これは私が以前デイサービスで働いていた時にお世話になっていた理学療法士の方が教えてくれました。
若干の誤差はどうしても出てはしまうかもしれませんが、自分に合っている高さの杖が使えるのは、すごく良い事だと思います。
街中でたまに見かけますが、明らかに杖の高さがあっておらず、バランスの悪い歩行をされている方もいらっしゃいます。あの状態で長時間歩くのは厳しいでしょうし、肩も痛くなると思います。出来るだけ、自分の高さに合う杖を選びたいですよね。ぜひ購入するお店で店員さんに相談して購入してください。
それと見落としがちなのが杖の先についているゴムの劣化です。こちらのゴム、杖が滑らないようにつけられている物ですが、すり減ってくると滑ってしまいます。劣化に気づかないで使用をされていると転倒の危険性もあるので、時々確認してみてください。ゴムに関しては、市販されてもいるので、杖を買ったところや近くの杖を販売している所などに行って確認してみてください。
杖の使い方
杖の使い方って難しいのかな?
せっかく使ってても間違った使い方だと危険だから、しっかり確認しないとね!
杖を使う方というのは、そのほとんどが膝が痛い等の下半身の筋力低下などが理由です。筋力が低下すればもちろん痛みも出てきます。杖というのは、その痛みを軽減させる・安定した歩行をする目的で使われます。なので、正しい使い方をしないと、転倒したりしてしまうので、気を付けましょう。
例)T字の杖(一般によく見かける物)で、左足が痛い方で説明します。
まず左足が痛いので、杖はどちらの手で持つかわかりますか?左手だと思う方いらっしゃいますか?
正解は右手に持つです。左足が痛いときは、右手に杖を持つ・右足が痛い方は左手に持つが正解です。左足が痛くて左手で持ったら体重をかけたときにバランスを崩す可能性があります。すると転倒のリスクが高くなってしまいます。
次は杖の持ち方です。握る部分(グリップ部分)になりますが、ここも持ち方によっては体重のかけ方で杖がちゃんと機能せず、転倒に繋がることもあり得ます。使う前に何度か確認・練習をしておくと良いかもしれません。
T字の場合、グリップ部分が握る側はしっかりと握れるようになっています。しかし、そこだけをしっかり握って体重をかけていると滑ったときやグッと体重をかけたときに転倒する危険があります。言葉だけだと伝わりづらいので、画像も載せて説明していきますね。
下の画像の様に人差し指と中指の間で固定すると体重をかけても、バランスを崩しにくいです。逆に広い部分だけをもって体重をかけると、バランスを崩す危険がありますので注意してください。
使い慣れなかったり、長時間の使用で手が痛くなることもあるかもしれませんので、体調と相談しながら使ってくださいね。
次に歩き方ですね。杖を使って歩く場合、①痛い左足と一緒に杖を出す歩き方・②杖と右足を一緒に出す歩き方・③杖を先に出して痛みのある左足を出す歩き方と、どれがバランスよく歩けると思いますか?
正解は、②と③で2動作・3動作の動きです。2動作というのは動作が2つあるという意味です。なので3動作とは動作が3つあるという意味になります。では、どんな動作があるのか、見てみましょう。
まずは2動作です。2動作では、痛くない方の手で杖を持ち、杖と同時に痛くない右足を前に出します。これが1動作目。2動作目は痛い左脚を前に出す。これで2動作の歩行ができます。
3動作は、杖を出した後痛い左脚を前に出します。その後右足を出すという動きになります。
ご自分やご家族はどんな杖が良いのか、どんな歩き方が向いているか等、理学療法士や先生など専門家に聞いてみてください。
福祉用具としてレンタルできる
杖って買う以外の選択肢はなのかな?
杖は福祉用具というイメージがあまりない方もいらっしゃると思いますが、立派な福祉用具です。
杖を交換するたびに購入していると、かなりの額がかかってきてしまいます。福祉用具でレンタルができるので、レンタルをしましょう。
レンタルする際は福祉用具の事業所との契約が必要になるので、担当のケアマネージャーさんに連絡をとってもらいましょう。
レンタルするメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット
・福祉用具専門の方が、使い方を教えてくれる。
・ゴムの交換など定期的に点検をしてくれる。(基本無料)
・身体の状態に合わせて新しいものを提案してくれる。
・費用がとても安く済む。
・デザインがおしゃれなのも多い
デメリット
・自分の物にはならない。(いつかは返却をする)
・新品が使えない。
いつでも杖の事で相談できる相手がいるという安心感はかなりでかいと思います。急に壊れてしまったとかゴムのすり減りですごいすべる等不安になることは突然起きます。そんな時に電話でも相談できる方が傍にいると思うだけで、かなり不安が減ると思いませんか?
まとめ
杖を使うことで行動範囲はかなり変わってきます。友達に会いに行くことができるようになった・少し遠くまで歩くことができるようになった・転倒が減ってきた等メリットが、ものすごく多いです。
杖は立派な福祉用具であり、購入することもレンタルすることもできます。自分の身体が弱ってきたときに使うものなので、正しい使用方法で使いたいですよね。
ここに書いてあるのは、あくまで一般的なものです。病気やけがの状態などで、使う杖の種類も変わってきます。なので、使う際は必ず専門家に相談をしながら選んでくださいね。
正しく杖を使って少しでも安全な歩行をして頂ければと思います。